HIGASHIMURATA’s blog

東村田昭の備忘録

インド洋に補給艦を戻せという意見が(続)

「理解できぬ撤退」の章の続きだ。

「旗国政府の同意を得て不審船の乗船検査を行うパトロール行動であり、戦闘ではない、ましてや、

日本は給油していただけだ。それでも、武力行使と一体だというなら、米軍兵士に食事を供することも

武力行使ということになる」

この平易な文章も常識が違うのかよくわからない。

「旗国政府の同意を得て」のこの下り、石破防衛大臣がテレビで述べていたが、公海上を航行している

船舶は国旗を掲げていないそうだ。すると何処の国の船か不明ななずなのだが、どうやって国籍不明船

の旗国を確定しているのだろう。世界中の国に事前同意を得ているということなのだろうか?。

「パトロール行動が戦闘ではない」という点も、誤っている。

戦闘もありうるという立場でパトロールしているなら、それは戦闘行為の一旦というより戦闘行為だろう。

トロールの意味も、巡視、巡回、哨戒、偵察とあるが、軍隊なので哨戒、偵察のいづれかで、

海軍なので、哨戒と約すのが適当なのだろう。

するとだ、軍事行動で、戦闘に直結する行為、その艦に補給する行為も戦闘行為の一環として理解する

のが適切だろう。

例を示すと、戦闘行動中の潜水艦に、補給艦が水、食料、燃料を給油に向かっている時、相手国が

その補給艦を攻撃するのは、当たり前だと思うが、どうなのだろう。

日本が戦争に負けたのも、補給活動、軍事用語で言えば兵站がうまく行かなかったからだろう。

兵站の超重要性を認識していない点が恐ろしい。

「米軍兵士に食事を供すること」の発言は、「腹がへっては戦も出来ぬ」という当たり前のことも

知らないのか頬かむりしているかなのだろう。

安保理決議のみを葵の御紋とするのは、いささか情けない」になると、もう逆上している。

クリントイーストウッド主演・監督の「許さざれる者」、19世紀(?)の西部劇、それも無法地帯での

論理だ。この映画の分らない所は、許されないのが、賞金稼ぎか、賞金を掛けた者か、

賞金を掛けた者を見逃した保安官か、一体だれだという点だ。

「中国 日本の40倍」の章に於いて、

「自由を防衛する共同責務を放棄しながら常任理事国入りを要求するのも、漫画的に聞こえてくる」

自由を防衛する共同責務に参加しているのは、国連加盟国192か国のうちの、僅か37か国。

どちらかといえば少数派なのだ。

多数派に属すると漫画的?。

「これから国際社会のためにインド洋に展開するのは、中国海軍かも知れない。その時、日本は

どこにいるのか」

何を意味しているのだろう?。MIOに参加せよと述べているのか?。

それとも、中国が洋上給油活動をやるということなのか、だとしても何が困るのかが分らない。

次は「補給は「超安全」の章だ

この中で、戦闘行為が生じる可能性を作者は一転して認めている。

このような戦闘状態になった時、補給艦が攻撃されないという確証はどうやって得たのだろう。

「また、40か国の誰もがうらやむ、いい役回りだった」という文もあるが、役割を代行するという国

も出現したという報道もないのが、不思議だ。

国際的に評価も高く、超安全なのだから、「アフガニスタンに関与」したいと言う41番目の国が

出てもおかしくないと思うのだが、何故でないのだろう。

出ない所に本質的な問題が隠れているのだろう。

「奥参事官の悲劇」の章に続くが、

「日本だけはイラク人や外国人のガードマンに頼るより仕方がない」とあるが、それでも安全な理由は

なんだと考えないらしい。

「あるいは、例によって、民生支援のカネで済まそうというのだろうか、アフガンで必要なのはカネでは

ない。リスクの中で任務に就く人々なのである」

リスクの中で任務に就く人々の支援で一番必要なのはカネだという認識が欠如している。

テロを撲滅するには、彼等の資金源を絶てばよいのだが、簡単なようで難しいのだろう。

テロリストといえども、交通費、爆薬を買う金、弾の購入費、軽油を買う金がなければ、手足を縛られた

も同然で、封じ込められる。

カネが無ければ、テロすら出来ないという事も分っていない、現実を知らないのだろう。

「大局を見る」の章では、

「万一、初期に流用があっても、ごく微量だろう」になると、もうもうむちゃくちゃだ。

「相手の船のタンクにもともとあった油と混ざりあって追跡不可能である」

ここまで来ると、相手にする方ではないと思うが、これを認めると幾らでも流用できる。

やり方は凄く簡単で、カラのタンクではなく、半分ぐらいの時に補給すれば、イラクでもアフガン

でも何処でも自由に使えるということだ。

分らなければよい、ばれなければよい、捕まらなければよい、犯罪者の心理に近いのだろう。

最後の結びなのだろう、

「最後に、それならば我々と一緒に陸上でリスクを負ってくれと」とあるが、どこの国が言い出しそう

なのか興味があるが、替わって欲しいと言い出す国はあるだろう。

なぜならば、撤退したい国は多々あるだろうから。

最後に不公平な文章だと思うのは、韓国軍が12月末で撤退することに一切触れていないことだ。

他の国にもそういう動きはあるのだろう。

ただ、御付き合いは大切だと思うが、度を過ぎると焼けどする。