携帯も固定電話も通じなかった友人から連絡があり、中央ヨーロッパへ旅行していたというのだ。
生きていて嬉しがっていたのも束の間、中央ヨーロッパって何処だと聞くので、
スイス、ドイツ辺りではないのかと要らぬ答えをしてしまった。
何で彼女は、ちょくちょく海外旅行へいけるのだと、ぼやくので、「まともな共稼ぎだったんじゃないの」
と益々拙い答えをしてしまう。
即座に「私と同じ働きかた」と厳しい顔で返事してきたのだ。扶養の範囲で働くという意味では同じなの
だが、内容というか年収が相手は110万、当方は60万、額が違うのだ。
これを10年続けると、500万異なってくるのだが、そこは流石にその場では思い浮かばなかったのだ。
慌てたというのか、びっくりしてしまったのだ。
話しの受け答えで話題があらぬ方向に進んでしまう。こういう事がないように話し方に注意するのだが、
油断したというのか、議論を吹っかけてくる様子もなかったので、気楽に答えてしまったのだ。
ヨーロッパの古城を見たいと以前から話していたので、突然、「行こうか!」と投げかける。
顔が生きていて嬉しがっていた時と瞬時に同じになる、ゲンキンなものだ。
息子が云々という返事だ。様は、一緒にくるのならよいが、来ないというに決まっているので、
一人にしておくのは不安だ、云々。
これが全ての隘路なのだ。
友人にも二人の子供がいるのだが、男の子は警察官になって結婚、女の子は主婦。
今や独立しているのだ。
ただ、数年前は、男の子は失業、離婚で大変だったし、女の子は東京暮らしで不安その
ものだったのだ。この時に我が家は順風万端。
順繰りなのだろう。