毎日新聞が19日に登載した「<基礎年金>「税方式」国民負担を試算 社会保障国民会議」
の記事を読んで、多少の疑問はあるが、税金化に賛成だ。
記事の要点は、
1)基礎年金(月額6.6万円)の財源を全額税金でまかなう「税方式」
2)社会保障国民会議(座長・吉川洋・東大大学院教授)の分科会
3)計算ケース
(1)現行と同水準を一律給付
(2)過去の保険料未納分を減額給付
(3)過去の保険料納付分を上乗せ給付
4)必要な財源は9兆~24兆円で、消費税(1%で約2.6兆円)換算なら、
現行の5%に、3.5~8.5%を上乗せ
5)現在は37%の国庫負担割合を09年度に50%に引き上げ済みというのが前提
この為には別に約2.3兆円(消費税で1%弱)も必要で、これも含めた全体の消費税率は9.5~14.5%となる
6)納付分に見合う年金(月3.3万円)を上乗せする(3)の場合、加算に必要な9兆円など24兆円の増税を要する。
消費税なら8.5%だ。
ただ、そのうち10兆円弱は保険料で負担していた分を税に振り替えるだけなので、実質の負担増は14兆円だ。
7)月収39.8万円の勤労者世帯なら月額5000円の保険料はなくなるが、
差し引き月額1.3万~1.6万円の持ち出しとなる。
8)また、(1)は14兆円(消費税率換算5%)、(2)は9兆円(同3.5%)の増税が必要。
9)本来もらえるはずだった旧制度の年金全額の加算を受けるケースでは33兆円(同12%)となる。
この場合、全体の税率は18%に達する。
ただこの案は、旧制度の国庫による支給分まで税方式年金に加算される内容。
感じた点を示すと
1)税方式と保険料方式を比較しているが、現在も税ではないのかという疑問だ。
その理由は基礎年金から脱退ができないのだからその保険料と称するものは税金だという点だ。
特に、5)で示されている国庫負担率を50%に引き上げるならもう税だろう。
2)社会保障国民会議(座長・吉川洋・東大大学院教授)にそういう計算を出来る能力のある人達
の集まりなのかというのが二番目の疑問だ。
データは何処から入手した、コンピュータはどこのを使った、プログラムは誰が作った、分科会の
各人が独自に計算し、比較したのか等々だ。
3)計算ケースは(1)がベースで、それから天引きが(2)、上乗せが(3)という事か
4)消費税の1%は約2.6兆円という根拠と、その消費税をかける範囲、米、醤油等の基本的食料品
にも課税するのかという疑問だ。
5)は、4)の上乗せ消費税3.5~8.5に1%を加算すると、
4.5~9.5%になるのだが、何故、消費税率は9.5~14.5%となるのだ。どういう計算をしているのだ。
6)は、納付分に見合う年金が何故、月3.3万円だという点と、
またその加算に必要な9兆円など24兆円の増税を要する根拠は何だ。8)と不一致だろう。
7)は、厚生年金の内の国民年金分ということなのか。厚生年金がなくなるという事なのか。
8)は、(2)を採用しても、やがては
(2)の額から(1)の額に移るはずだが、その時点はいつだという点と、未納者が年代別にバラツイテ
いると思うのだが、具体的にどう変化するのだろう。
まさか、静的計算しかしてないことはないだろうなという疑問が強い。
9)の数値もよく理解できない。18%は何を足しているのだ。数字の間の結びつきが不明だ。
記者は理解しているのだろうか。
以上のケーススタディで抜けているのは、清算という選択だ。
以下の処理で年金を再構築してはどうか。
(1)現在の年金を清算、保険料を払い戻す
払い戻す保険料の額だが、給付を受けていない者には全額返納。
給付を受けている者には、(納付月数ー給付月数)分だけ払い戻すのだ。
(2)その後、全額税で構築
(3)直ちに、受給資格者には、国民年金6.6万円/月を支給
これだと、消費税5%アップで済むように思うのだが、社会保険庁が保管している保険料の総額が
正しく把握できないと前に進まない。