HIGASHIMURATA’s blog

東村田昭の備忘録

生活水準の差による後期高齢者医療制度

またまた生活に余裕のある方が発信する情報を見つけた。

それは、5/6付の産経新聞の主張というコラムだ。題目は「首相は制度の意義語れ、

無責任な代替案なき廃止論」という、一見立派な表題が付いている。

結論を先に書くと、預貯金や不動産が1億円程度ある者や80歳ぐらいまで現役時代の年収が

見込まれる者にとっては、当たり前の意見なのだが、そうでない者には大変厳しい考えなのだ。

一言で言えば、偏向している考えなのだが、なかなか面白いので紹介することにした。

すこしずつ、考えの違いを説明していくと、まず、

「高齢者の不安や不満は相次ぐミスによって制度自体の信頼性が損なわれたことが大きな要因だ」

とある。高齢者の不安や不満は、従来の保険制度から特別に切り離されたと事が原因で、そこから

派生した色々な問題にあると考えている私にとっては不可思議な分析なのだ。

不思議なシステムを作っておいて、そのシステムが誤動作(ミス)したからそのシステムが駄目だと

言っていることに相当する。違うだろう、システム本体に問題があるだろうという捉え方が私の意見だ。

「使った医療費が少ない都道府県ほど保険料も安くなるというのが新制度の仕組みだ」

この視点、一見当たり前のように思えるが違うだろう。

どこの都道府県でも一人当たりの老人の平均医療費はほぼ一定していると考えないのだろうか。

具体的には、

1)A県は例えば1万円で、B県は2万円という違いが本当にあるのだろうか。

2)後期高齢者の平均年齢が低ければ低い程、平均の医療費は低いと想像されるので、

A県の後期高齢者の平均年齢は80歳で、B県のそれは、85歳ということなのか。

そうならば、B県の保険料が高くなるのは必然なのだが、それでよいのか。

3)または、逆で、後期高齢者の平均年齢が低いのに、平均の医療費が高いということなのか。
 
この場合は無駄な医療費が費やされているのか、病気の老人が多いか、適切な医療が提供され

なく病気が長引いているのか等々の分析が必要になる。

「年金天引きにメリットある」

この意見もどちらの立場に立つかで、違う。コラムを書いた人は役場の立場で意見を述べているし、

年金受給の実態を全く知らない。

「窓口で払う手間が省け、行政コスト削減につながる」

コラムを書いた人は年金は現金書留または、どなたがが現金を自宅にもってくると思っているようだ。

実際、私は厚生年金を受給しているが、銀行振り込みなのだ。現金にするために銀行へ下ろしに

行く必要があるのだ。

後期高齢者医療制度での保険料を支払ったことがないので分らないのだが、自動車税の支払いの

様にすれば、銀行等の待ち時間を除けば、1分もあれば終わる手間がかかるだけだ。

この1分を払う手間を省いて欲しいかどうかということだ。

また、行政コストが省けるという意見にも疑問がでる。具体的には、広域連合から社会保険事務庁に

天引きの依頼がいくはずで、この依頼を省くわけにはいかないだろうから、省けるコストというのは

銀行等から振り込まれた保険料の名寄せの部分と思うが、逆にコストを上昇させているのではないか。

後期高齢者医療制度の対象者は1300万人、そのうち1100万人は国保などの保険料を負担していた

というから、

この差200万人分からも保険料を徴収するというなら新たなコストが発生するのだが、免責されて

いた方々なら新たなコストは発生しないのではないか。

また、国保から1300万人が抜けたから、国保側のコストがその分、減るとは思えない上に、広域連合を

作ったのだから、二重のコストアップがあるのではないか。

「政府は天引きするメリットをもっと説明すべきだろう」

ともあるが、政府のメリットは主張できても、天引きされる側のメリットは提示不可能だろう。

無いのだから。

「高齢者にも応分の負担を」

これには大賛成だ。但し、高額な収入がある人に限るというのが、新聞と違う。

また高額な収入とは、これは朝日新聞からの情報だが、年金他の家族収入が270万/年の人を

高額な収入がある人とは認識していない点も大きく違う。

「高齢者の多い市町村では国保財政は破綻の危機にあった。新制度は運営を都道府県に広げ、保険

財政を安定させるのが狙いだ」

この文章は矛盾だらけだ。

国保財政が破綻の危機にない市町村があり、そこが破綻の危機にある市町村を救えるだけの財政の

余裕があるのならば、成り立つ理屈なのだが、ならば、国保を広域化すればそれで済む問題ではないか。

極端な話しでは、国保都道府県で一本化すれば、済んだということだ。

事務は市町村が従来どおり実施すればよいだけだったのでないのかということだ。

民主党などが主張するように新制度を廃止したところで、医療費の増加は誰かが負担しなければ

ならない」

その通りだ。増加分の負担は高齢者自ら、且つ若い方も含めた巾広いところから徴収するのが筋では

ないか。例えば、年金がそうであるようにだ。

やがては、後期高齢者の年金も別立てになるのだろうか。

若い方の負担が青天井になるという根拠でだ。